そっとガーゼをはがすと 体液とぬり薬が混じり合ってくっついてパリパリに固まっている 傷はほとんど治りかけ 完全に癒えるのは時間の問題 ここまで来たら 十年くらい前の私だったら もう沖へと泳ぎ出していたかも ちょっとくらい海水にしみても我慢して な…
思いがけずふわっと温まった右の手のひら 夜の電車の窓は車内の光景を無遠慮なまでに明るく映し出す 窓ガラスに顔を寄せて一人見上げる都会の曇り空に 思いきり右手を伸ばせば雲だって掴めそうな気がしたんだ
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