風ビュービュー吹きすさび みぞれは雪まじり 手足はすっかり冷たくなり 鈍色の空に汽笛が溶けゆく 波しぶき エンジン音 舟は大揺れ 音も揺れる？ いつもの友達 初めての友達 海の上ではどんな景色が見えるだろう？ いい音がきっと待ってる

家人も猫も寝しずまった夜ふけ ＣＤをかけて布団にくるまって これまでに何度も読んだ本の頁をめくる 足にふれる毛布のやわらかな感触 慣れ親しんだストーリーをなぞる 落ちついた色の明かりと低く流れる音楽が 部屋の空気をゆるくあたためる 今ここには 焦…

今日も一日 バイトがとどこおりなく終わって 本を二十冊ほど貰って帰って 両親とビールを飲んで晩ごはん食べて 日本酒まで飲んで ネットして コーヒーを飲んで ちょっとだけお菓子もつまんで 洗濯機を回しながら 風呂を洗ってお湯を入れて ていねいに歯を磨…

試聴機の前で ヘッドフォンを外せなくなって 心臓をつかまれたような 踊り出しそうになって 目の覚めるような ワクワクする 下を向いて思わずニヤリ いきなり目の前が開けたような気分で その音を 楽しんだ。

朝が来て夜が来てやがて埃をかぶって色あせて新しく生まれて塵になって循環して 残るモノは何だろう 行き着く先は何処だろう 別に答えを知りたいワケじゃないけど

バイト帰りに少し歪んだ円い月が白くピカーっと光って中空に浮いていて張り切った一円玉って感じだった

美しいものは 日々 目の前を通り過ぎて行くから その残像を 心のポケットに 片っ端から突っ込んで 日々を 飛び越えて行こう 鼻歌の一つでも口ずさんで

さがしものを見つけてしまうと 本当に大事と思えるものに出会えると たまに 何かのはずみに ちょっと苦しい 出会うまえとすっかり様変わりした風景、 これ以上どうやっても変わり得ない世界、 それでもいつか失われ得る物事、を思う でも 何一つ選べないし …