世界 瞬間 記憶

友だちとお昼を食べてのんびり過ごした帰り道
だらんと自転車をこいでたら


西の空のきわは山吹色の夕やけに染まって
富士山のシルエットがくっきり見えて
その上には三日月も浮いていて


地平に沿った夕やけのグラデーション
上空の浅い紺色
月の放つまっすぐに白い光
頬を射す底冷えのする夜気


それ以外にも
あれやこれや
写真をとるみたいに記憶に留めておきたくなったから
心を澄ませて
意識を宙に遊ばせてはちぎって
カケラを置き去りにした
ヘンゼルとグレーテルがパンを道にまいたように


さっきの初冬の夕暮れを映しとった
私の心の一部は
私にしか見えない光の波長で
星みたいに小さく瞬くだろう
これからも多分ずっと