音風景

午前10時
さわやかな初夏の気候は
5月のようでもなく
本格的な夏のようでもなく
梅雨のあいま、七夕の直前にふさわしい


おだやかな風は
窓のすぐ外に干された洗濯物をはためかし
木の葉を揺らし
隣家に吊された風鈴を鳴らす


ガラスの風鈴のとぎれとぎれの透明な音色が
部屋でかける音楽にとけこんで
ひとつの美しい風景となる


疲れと宿酔いでだらしなく寝そべりながら
すこし腫れぼったいまぶたの下
すこしの容赦もなく飛び込んでくる
目前の景色の全てをくまなく見つめて
すこしでも記憶に留めようと願う
儚くたしかな人生を思う