オータム・メランコリー

仕事のあと
夜ごはんを早目にすませて歯医者へ行った
帰り道
十月の冷たい雨に降られ
閑散とした小さな商店街を
さえない気分で傘さしてとぼとぼ歩く


店じまい間近の八百屋の店頭に
黄色と緑のまだら模様の
小粒のミカンが光ってた


先週は同じところに紅玉があったっけな、
と思ってよく見ると
すこし後ろにすました顔で並んでた
ぎゅっと身の詰まったすっぱい赤いりんご


はなやいで秋のおとずれを告げる果物たち
秋の勢いにのみこまれて今にもしおれそうな僕の心