ぼくらは歩く ただそんだけ

夕方6時半に六本木で友だちと別れて、疲れてるからまっすぐ帰るつもりでいたのに、人でざわつく夕暮れの街並みが目に入ったとたん「歩きたい欲」がむくむくと立ち上ってきたので、とりあえず渋谷方面に向かって歩きはじめた。ふだん立ち仕事なので最近は以前ほどよく歩かなくなった。六本木通りを歩くのも久しぶり。人の流れや街並みを見ながらひたすら歩いていたら、どんどん楽しくなってきた。目に映る景色が心にまっすぐ飛び込んで来さえすれば、私は大丈夫だと思った。職場のつまらない人間関係なんか知ったことか。気づいたら青山の知っている通りに出ていて、ちょっと不思議な感じ。ビルに縁取られた空を見上げると、雲の合間に澄み渡った蒼い空がのぞいている。コンビニで発泡酒の新製品を購入、ゆっくり味わって飲みながら外苑前、千駄ヶ谷を通り過ぎ、新宿方面へ。足は疲れてじんじんするけどまだ歩いていたくて、もう1缶追加して池袋まで歩くことに決める。繁華街のビルのすき間に見え隠れする細い月に感動。隅田川を見て先日読んだ小説を思い出し感動。9時半に池袋着。音楽を聴きながらほろ酔いで夜の街を1人てくてく歩くと、目前の景色のほかに、自分の中の街の地図や思い出など様々な印象がとりとめなく浮かび上がっては消え、ある意味贅沢。ちょっとした旅行に匹敵するくらいの良い気晴らしになった。
しかし翌日の仕事は心身共にへとへとで体を動かすのがやっとだった。治ったと思った風邪もぶりかえしたようで水ばなとくしゃみが止まらず喉はずきずきと痛み。あー、しんどかった。