欲望は尽きることなく

読めば読むほど、読みたいと思う本が増えていくような気がするのはどういう訳だろう。読書は楽しいんだけど、ある意味ちょっとしんどくもある今日この頃です。けど読む。

ナショナル・ストーリー・プロジェクト

ナショナル・ストーリー・プロジェクト

手にとってみたら何か気になる感じだったから読み始めたけれど、はたしてそんなに面白いのかなー?と半信半疑で少しずつ読み進めていくうちに、すっかり魅了されてしまった。面白かった!春樹「アンダーグラウンド」を読んだときの印象とちょっと似てる。オースターのラジオ番組に全米から寄せられた179の物語。この世界は一つの場としてあるけれど、人によって、人と人との干渉作用によって、こんなにも多様でオリジナルで複雑な文様が描き出されるということの不思議。個人的にお気に入りなのは「マーケット通りの氷男」でした。

ある人の言を借りれば、「私はもう現実をうまく定義できない」。物事について考えを固めてしまわず、見ているものを疑うよう心を開いておけば、世界を眺める目も丁寧になる。そうした注意深さから、いままで誰も見たことのないものが見えてくる可能性も出てくる。自分が何もかも答えを持っているわけではないと認めることが肝要なのだ。すべて答えを持っていると思っている人には、大切なことは何ひとつ言えないだろう。

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

読んでみたいとずっと思っていたけどずっと予約が入っていて、とうとう予約待ちがいなくなった、とわかったその場で借りました。太田さんが総理役の番組は結構好きでたまに見る。中沢さんは、ある種のアイコンとして存在はずっと知っていたけれど読んだことはなくて、これを読んで、こんな素敵な人だったのかーと思った。憲法について以外でも、いろいろと興味深い内容が語られていて、特に「理想」や「矛盾」については、なるほど納得。わかりやすくて深い。この本も、本当に面白かったです。