「雨と夢」



音も立てずに 雨は
降り続けては ほら
暗い水面に そっと
吸い込まれる


少し開いた 窓の
隙間にすべり込む
夜と雨との匂い
胸を浸す


かすかな言葉は
聞き取れず
たしかなことすら
あやふやに
闇に溶け出す


曇りガラスを そっと
指でぬぐって
遠く離れて にじむ
明かりを見る


一人残された
雨の夜
つなげた心は
やわらかな
光を放つ


その静けさに
やさしい声に
夢と現に
耳をふさぐ