「プロローグ」


やわらかな音で ドアを叩いて
眠りの中 遠ざかる 足音が響いた


朝もやの中に 取り残される
あと少し 届かなくて ため息がこぼれた


いつのまにかここに 迷い込んでいた
閉ざされた箱庭 扉開く鍵


今も見つからないよ
どこへ向かおうか
夢なら醒めればいい
そっと託した心の切れ端を
たよりに 行こう


口笛は高く 空の彼方に
こぼれた歌の欠片を 拾い続けている