あこがれのまち

学生だった頃から関西弁に何故だか憧れている。関西出身の友達が家では関西弁で話すと聞いて、どうして普段はしゃべってくれないのだろう、とひどく残念に思ったし、恥ずかしながら、まわりに関西弁の人がいるとつい影響されてしまって、周囲にうっとおしがられたりしたこともあった。今でも、たとえば仕事場でお母さんが子供を関西弁まじりで話しかけたり叱ったりするのを耳にすると、内心うっとりする。もし英語か関西弁ネイティブのどちらかに生まれつくことを選べるならば、ついうっかり関西弁を選んでしまいそうな気がする。
大阪に行ったのは一度きりで、3年前の冬、これといったあてもなく一人で半日ほどぶらぶら歩いてまわった。黒門市場が面白くて、昼と夕、2回行った。昼下がりの気怠い感じも悪くなかったけど夕方になってにぎわいを取り戻した様子にわくわくした。そこに根づく人の暮らしを、肌で知った気がした。

大阪名物

大阪名物

たまたま返却されてきたこの本を手にとってぱらぱらめくってみたら、好きな感じの文章だったので、お、と思って借りてみたら、同じ著者の本を持っていることに気づいた。
大阪 下町酒場列伝 (ちくま文庫)

大阪 下町酒場列伝 (ちくま文庫)

読みたいけど定価で買うほどでは・・・と思うことはや数年、この冬ようやく近所の古本屋で巡り会った。お酒が好きで大阪に憧れる私にはたまらない一冊。ちびちびと読んでいる。

「大阪名物」は、単なるおとりよせ本とはひと味もふた味も違って、食べ手と作り手の「暮らし」がしっかり感じられる本。毎日ネットで人の日記やブログを見たりするのはこういう文が読みたいからなんだよなー、なんて改めて気づかされた。そう、神は細部に宿るのです。「当たり」本でした。