百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

何度か借り直して、2ヶ月くらいは手元にあったと思う。すらすら読める内容じゃなかったけど、半ばあたりから加速がついて、残り三分の一くらい一気に読み通したような印象(「半島を出よ」の読後感と似ていた)。一族の百年に渡る壮大な物語で、自然や時勢の移ろいの過酷さ、人物の過剰さと不条理さが生々しい。言葉の定義としてもこの小説に対する感想としても正しくないような気はするんだけど、スラップスティック、という言葉が何故か頭に浮かんで離れなかった。多彩な要素が複雑に絡み合った、稀代のストーリテラーによる大作、読んでみて損はなかったです。
次はカラマーゾフの兄弟に取りかかるつもり。
伊都子の食卓

伊都子の食卓

食べ物エッセイ好きなので背表紙を見てつい手が伸びた。本を開いてみたらとっつきやすい感じの文章で、よし、と思って借りてみた。淡々として安定感のある語り口。普段めったに食べない上品なお茶請け用の生菓子のよう。一つの連載がそのまま一冊になったような本と違い、長年に渡る随筆の中から食べ物に関するものを拾い出したようで、それでいて全くぶれがなく、堅苦しいようでいてドキリとするようなことが書いてあったりもして。楚々として味わい深い一冊でした。

私を、野性的だといってくれた最初の、唯一の人であった。じつは私は、まだ十六歳くらいの女学生で、(中略)それから二十年もたって、やっと自分が野性的な存在であり、人間の教養とは野性を失うことではなく、野性を洗練させることなのだと気がついてきた。

よりみちパン!セシリーズ。こういう本を子どもも大人ももっと読んだ方がいい、と心から思う。メディア・リテラシー、とか、沈黙の螺旋、という言葉を忘れないようにしたい。
ヒトラーが言っていた、とされている言葉(真偽のほどは不明らしいけど)。

青少年に、判断力や批判力を与える必要はない。彼らには、自動車、オートバイ、美しいスター、刺激的な音楽、流行の服、そして仲間に対する競争意識だけを与えてやればよい。青少年から思考力を奪い、指導者の命令に対する服従心のみを植え付けるべきだ。国家や社会、指導者を批判するものに対して、動物的な憎悪を抱かせるようにせよ。少数派や異端者は悪だと思いこませよ。みんな同じことを考えるようにせよ。みんなと同じように考えないものは、国家の敵だと思いこませるのだ。

学生の頃は社会科が苦手で、特に歴史なんて全く興味が持てなかったけど、人間である以上歴史から学ぶことは大切なんだとようやくちょっとわかってきた。