おきらく無頼派

笹塚日記 ご隠居篇

笹塚日記 ご隠居篇

本の雑誌の読者ではないけど目黒さんの笹塚日記は好きだ。ちょうど前巻「うたた寝篇」の出るまえ頃に1巻2巻を借りて読んではまり、うたた寝は買って読んだ。今回「ご隠居篇」で最後だと知ってちょっとさみしい。私は文章から映像を想像することはあまりなくて、その人の声を聞いていたい、みたいな感覚で読んでいて、そういう意味で目黒さんの日記は好みに合っている。いい具合にいい加減な日常の描写の合間に「おやおや」「ふーん」「いいんだもう」などのぼやきがいい塩梅で散りばめられている。土日は「終日競馬場」、その一言が潔い。「お気楽無頼派道」と評している人がいて、うまいこと言うなーと思った(あ、山田詠美ポンちゃんシリーズもそんな感じ。両者とも、私にとって和み系です)。元社長で、ペンネームを3つ持つ文筆家、「すんげー良い声のトトロ」な、うちの親と同い年の目黒さん、これからも笹塚日記風にどこかでぼやき続けていてほしい。
連篇累食

連篇累食

そんな目黒さんの料理エッセイが出ていることを「ご隠居篇」を読んで知り、さっそく借りてきた。テーマ料理についての思い出と実践の他に、関連する文章が多数引用されていて、料理本としては「使えない」けど、好きだなあ、こういう本。同時に読み進めていた「ご隠居篇」の最後のほうに、出版社が倒産したため印税がもらえなかった、とあり驚く。たしかにアマゾンで見ると古書しか取り扱われていない。注文しようか迷ってます。