never let me go

仕事が終わってから直接友だちの家に泊まりに行って飲んだ。はじめての町を歩くのはいつだって面白い。厳密に言えば初めてではなく、昔の彼の弟が住んでいた町だったけど。駅に降り立ってようやくそのことを思い出して懐かしくなった。延々飲み食いしつつ映画を見ている途中その場で爆睡。人の家で飲むと大抵そんな感じで寝入る。見逃した映画の後半が気になるところ。買い出しに行ったスーパーで見つけた「フラン 珈琲 砕きエスプレッソ」大いに気に入る。コーヒー豆の苦味がたまらない。

わたしを離さないで

わたしを離さないで

評判の良さに予約を入れてから待つこと半年以上、ようやく順番がまわってきた。好みの小説とは言えないけど、圧倒的。登場人物が、作者に都合のよい存在としてではなく、生身の人間として丸ごと丹念に描写されているような印象。人生とか、運命とかいうものについていやおうなしに意識させられた。もの悲しい、というより「哀しい」気分になる。船に乗って甲板に出ていると肌や髪が潮にさらされていつのまにかべとべとになるけれど、読み終えて小説世界から日常に心が戻ってきても、その哀しみは潮のようにはりついたまま。