梅の実で一服

灰色猫と青い鳥さん

禁酒はしごく順調で、自分でも意外なくらい。昨日の夜は田舎から父が帰ってきたので両親と3人で飲んだけれど、それ以外では、梅酒の梅の実を2粒食べたきり。でもたまに、思いもよらぬときに飲みたくなる。たとえば、休日にずっと家にいて昼寝から目がさめて、だるいけどこれから楽器吹きに河原に行かないと、みたいなとき、ちょっと酔ってふわっとした気分で出かけたいなーなんて思ったり。そういう、ささいな心のすきまにお酒はすすすとしのびよってくる(そんなときは梅の実でごまかそうと決める)。失恋したときとちょっと似てる気がする。

このあいだ友だちの家に泊めてもらったとき、ますむらひろしの「コスモス楽園記」というマンガの文庫本をもらって帰って、最終巻だけ欠けていたので、職場にある全集から1冊借りてきて読んだ。ますむらひろし、子供の頃に読んだときは独特の雰囲気になじめなくて、今になってようやくよさがわかってきた感じ。このあいだばななさんがサイトの日記でますむら作品についての思い入れを語っていて、たしかに、「白河夜船」に収録されている「ある体験」なんてますむら世界そのものかも、という気がして久しぶりに読み返した。こんなん中学生の頃に読んでたんかー思うと不思議。小説として、というより、わかりやすい言葉の裏にある誠実さや切実さを、言葉の響きをつうじて丸ごと受けとめていたのかな、なんて思う。

家日和

家日和

人気あるみたいだし読んでみるかーと軽い気もちで予約したら半年かかった。読んでみて理由がわかった。登場人物がちょうどうちの職場をよく利用するような三〜四十代の人と被ってるんだなと。仕事に家庭にと忙しく、余裕もなくはないけど本は図書館で借りて読む、みたいな人がすごく共感したりちょっとだけ羨ましく思ったりするような内容。たしかに面白いし、世の中にこういう小説もあっていいよなーと思う。

もちろんユーモア小説だから裁いたりはしない。フェアネスも忘れない。自分の目から見た、少々滑稽な人々を描写したいだけなのだ。

まさにそんな感じの短編集でした。