闇に射す光
切れ切れではあるけれど、ようやくちゃんと眠れて頭がすっきりしてきた、木曜の朝です。雨がふっていて外は真っ暗。
この数日、興奮が徐々に冷めてきたら、なんだか心許ない気分です。たどり着いてドアを開けたら、そこは漠然と思い描いていたゴールとは全然違って、深い闇がぽっかりと広がっていて、見通しは全く立たず、わたしはその場に立ち尽くして闇から吹いてくる風に吹かれて茫然とするばかり。でもきっと、生きている限り、そうやって続いていくのかなと思います(幻想を抱くことも含めて)。立ち向かい甲斐があって良い気がします。お仕着せのセレモニーなんてくそくらえです。しかしどうしてこんなにはねっかえりな性分なのでしょう。小心者なのにね。
一昨日母と口論になりました。母は今回の親戚のいざこざで叔父の不甲斐なさに腹が立ってしょうがないらしく、そのことを形を変えてわたしやわたしが話した友人のことに対してぶつけてきたので、わたしが切れたのです。翌日には仲直りしたけれど。物事は見る角度によって様々に形を変えるし、人と同じにできないからってその人がなまけているとは必ずしも限らない。レッテルを貼って何でも一概に決めつけるのはやめてほしい。それが世間というものだとは知っているけれど。人と同じにできないことでその人がどれだけ胸を痛めたりとか、やりたいことがあってはっきり目標を持ってがんばっているかとか、目には見えなくても大切なことってたくさんある。もちろん人間だから甘えたり怠けたりしているところもあるだろうけど。仕事を持って働いていても性根の腐った人間はいっぱいいる。人と同じにできなくて、手探りで歩いていく人が抱えている闇はそうでない人よりずっと深いかもしれないけど、その分、闇に射し込む光はとても美しく感じられるのではないか、とわたしは強く感じました。どうか負けないでほしい。
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 講談社
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