「三月」


暗い夜に 君を想う
春の風が 届くように


ありふれた 安らぎを
引き裂いた 黒い波
息を呑み 願い込めて
闇の中 目を凝らす


形ない祈り 淡く光り
せめて足下 照らすように


寒い朝の 君を想う
白い息で 笑顔でいて


赦されて ここにいる
わたしたち 笑い合う
いとしさも ぬくもりも
おろかさも なげきさえも


争いが生まれ 壁が育ち
見失ったまま いがみ合う


いつかぼくら はなればなれ
手を伸ばそう 届くうちに


伝えたい心
伝えられなくて
いつだって
空回りして
悪あがきして
それでも
雪は融け
水は流れ


雲の上の 星を想う
今は光 見えなくても
ぼくの声は 強い風に
かき消されて 届かなくても