「みずうみ」


胸の奥にある みずうみに遊ぶ
深く潜ったら いつしか空を泳ぐ


水面に映り込む さざめき揺れる月
つかめない


そっと うずくまる 猫の背を撫ぜる
夢は醒めやらぬ 降り積もる雪に似る


冷たい光浴びて つた絡まる 夜の庭先
かじかんだ手の先に 息吹きかけて 一人立ち尽くす


夢は鳴り響く 遠い空の底
影が消えるまで 願いは止まない


水面に映り込む さざめき揺れる月
光を映し出す 心はそばにある

「夏の雪」


星を数えて見つけた物語を
いつかあなたに話して聞かせよう


言葉や歌に込めた想い
離れて遠い場所で響いた


騒がしい街並みに
心閉ざし歩いた
空を見ては


つまづいたことさえも
やがて時に流され
傷は薄れゆく


夜の終わりに交わした約束は
朝の光に見えなくなったけど


失くしたことに少し慣れて
流した涙すぐに乾くけれど


そばにいて
行かないで
願う強い気持ちは
胸に残る


思い出はとどまらず
形を変え続ける
今もずっと


色あせず
そこにある
僕達が見たものは
夏の雪のよう

「プロローグ」


やわらかな音で ドアを叩いて
眠りの中 遠ざかる 足音が響いた


朝もやの中に 取り残される
あと少し 届かなくて ため息がこぼれた


いつのまにかここに 迷い込んでいた
閉ざされた箱庭 扉開く鍵


今も見つからないよ
どこへ向かおうか
夢なら醒めればいい
そっと託した心の切れ端を
たよりに 行こう


口笛は高く 空の彼方に
こぼれた歌の欠片を 拾い続けている

「雨と夢」



音も立てずに 雨は
降り続けては ほら
暗い水面に そっと
吸い込まれる


少し開いた 窓の
隙間にすべり込む
夜と雨との匂い
胸を浸す


かすかな言葉は
聞き取れず
たしかなことすら
あやふやに
闇に溶け出す


曇りガラスを そっと
指でぬぐって
遠く離れて にじむ
明かりを見る


一人残された
雨の夜
つなげた心は
やわらかな
光を放つ


その静けさに
やさしい声に
夢と現に
耳をふさぐ

「夏の終わり」


言い過ぎてしまったり
言い足りなかったりして
伝えられたのか
わからない


余計なことばかり
しすぎては悩む
そんなことばかり
繰り返す


優しい言葉
かけるだけじゃなくて
見えない音に
あたたかな色を込める


ワガママな君と
ワガママな僕は
譲れないものも
似ていたね


叶わぬ願いなら
せめてもと歌う
言えなかった思い
届くように


君の答えを
見つけられないまま
また夏が終わる
秋が訪れる
冬を追いかける
春に立ち止まる


また夏が終わる

「平行線」



空の青
見上げては
遠くまで
耳澄ます


よく晴れた
秋の午後
枯れ落葉
風に舞う
与えては
去って行く
繰り返し
訪れる


空模様
気にしては
立ち止まる
振り返る


さようなら
ありがとう
心から
伝えたい
変わらない
わからない
僕らまだ
平行線


喜び悲しみ
受け止めて
何気ない顔で
歩いてく


薄青い
夕空で
三日月と
目が合った
さみしくて
心地よい
日暮れまで
あと少し

「ラブソング」


山の向こうに 赤い夕日が
沈んで浮かぶ 月 きれいね


星を数える 時計の針を止めてしまおう
もうこれ以上 何も欲しくない


窓の向こうに 続く青空
何故か悲しい 記憶さわぐ


見えない不安 果てない夜の明かり たやさず
大事な君と はぐれないように


夜の向こうに 光が差して
また朝が来て 続く昨日


旅の途中で 見つけた花の香り 吸い込む
忘れたくない 記憶に焼きつける


白い砂浜 鳥は羽ばたく
あまり遠くに 行かないでね