「道草」


なんとなくちょっと淋しくて 意味もなく君と笑いたくて
もどかしい気持ち口に出せず ぎこちなく笑ってごまかした


すれ違う言葉かけ違えたボタンのよういつの間にか
夢じゃないこと確かめたくて 手を伸ばす


やわらかな心の奥に 触れさせてほしい


見つめたい横顔 ただそばにいてほしくて
変わらない僕らの答えを見つけよう


緑の風カーテン揺らし長い冬に終わりを告げた
もつれた糸をほどくように 伝えたい


キライにさえもなれなくて 遠回りしても


わからない僕らは また気づかない素振りして
止まらない想いの行方をたどった


やわらかな心の奥に触れさせてほしい


見つめたい横顔 ただそばにいてほしくて
変わらない僕らの答えを見つけよう

「雨音」


降り出した雨に行く手を遮られて
軒先で雨宿り 空は鈍色


ため息が歌になる 雨音にのせて
僕だけの君になら素直になれるのに


気まぐれに雲は流れて何処へ向かう
ゆっくりと動き出す空を見上げた


つまらない冗談で笑い合った僕ら
思い出は泡のように はじけて消えた


いつになったらうまく言えるだろう
君だけの僕として隣にいさせて


いつになったら伝えられるだろう
癒えない傷跡も全て誇りに思うと
思い出は花のよう そっと手を振るよ


雨音は子守唄 君の街まで

「桜」


少しずつ陽射しが高くなる
にぎやかに色づくそこかしこ


桜を見上げては口ずさむあの曲


風に舞う花びら 淡く霞む夕空
何度でも思い出す 君の手紙


いつからか僕らはここにいる
手を伸ばすあきらめず届けよう


なつかしい面影を大切に抱えて


やわらかにまどろむ春の夢のように
降りしきる花吹雪 遠い笑顔


桜の木の下で繰り返すあの曲


風に舞う花びら 淡く霞む夕空
何となく思い出す 君の笑顔


次の春に会えたらいいね またいつか

「光」


藍色の空に 星が流れる
底の見えない いつかの夜に 君と君は出会うだろう


暗闇にそっと 差し伸べられる
いつか消える どれも全て 同じではない光


夜を照らすように 脈を打つ鼓動
焔灯すように 夢を見る力


夜はいつか明けるだろう 止まない雨はないように
きっと君は出会うだろう 点と点が描く軌跡
春に花が咲くように 新たに灯る 光を待つ


真冬の海に 打ち寄せられた 古い記憶
褪せた色合い 錆びてはがれ落ちた跡


懐かしい歌を 思い浮かべる
茜色に 暮れる空に 夕闇が滑り落ちる


儚く続く日々の 営みを越えて
どこまでも広がる 世界のつながり


波は今を繰り返す ここに君がいなくても
僕はきっと忘れない 昨日と明日の真ん中で
朝は今日も訪れる 微かに揺れる 光を見る


夜はいつか明けるだろう 止まない雨はないように
きっと君は出会うだろう 点と点が描く軌跡
春に花が咲くように 新たに灯る 光を待つ


藍色の空に 星が流れる
底の見えない いつかの夜に 君と君は出会うだろう

「裏側の月」


欠けた月追いかけて歩く
君のこと考えてた
ポケットに探り当てたのは
冷たい月の欠片


いつからか僕ら互いを
映し出す背中合わせに


声 届かない 伝えたい 物語 ひそかに


傾いた月の裏側に
やわらかな雨が降る
宵闇に溶け出した心
頼りなくまたたいた


重ならない答え合わせ
埋まらない隙間たどって


闇に浮かぶ月の引力に
とらわれた君と僕はどこへ帰ろう


傾いた月がついてくる
懐かしい声を聞く


音 聞こえない 物語 届けたい 静かに

「真夜中に僕ら」


忘れ物取りに帰らなきゃ
焦って転んですりむいた


伝え忘れたことばかり
気になって後ろ振り向く


大切な事ほど口に出せないけれど今もここにある
さらさらとこぼれる想いは砂のように日々に紛れ込む


いつだってうまく歩けない
私を待っててくれるかな


一人で歩く帰り道
丸い月と一緒に


真夜中に僕らは声に出さずささやく言葉にできずに
君の手のひらから伝わる温もりまた思い出してる
真夏の片隅で醒めない夢追いかけ見上げる夜空

「ゆきどまり」


どうやってここに来れたのかわからない
上り坂背中押す君の声に急に楽になったんだ


波の音 潮風と 肌を焼く強い陽射し
白い雲 空高く きりもなくつのる想い
寄せては返す波に遊ぶ


ずっと待ってた気がしてるこんな日を
君の腕の温度夢に見るほど
そばにいられたらと願う


夕暮れに踏みしめた砂浜は熱を残す
ぎこちなく手を伸ばす僕らまたすれ違った
まっすぐに受け止めたい


安心な行き止まり 八月の褪せた夜空
これ以上どこへも行きたくない
海鳴りに耳を泳がせた